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コラム
【先願主義と先発明主義】
日本の特許制度では、一番初めに「届け出た人」が特許権を取得できるというのがルールです。
たとえば全く同じ発明を、Aさんが4月1日に、Bさんが4月2日に思い付いたとします。Aさんがのんびりしている間にBさんが特許庁に申請を出してしまうと、この発明の特許権はBさんに認められるのです。
ちょっとAさんがかわいそうな気もしますが、「発明を秘密にせず公開することで産業を発展させる」ことが特許制度の目的ですから、とにかく早く特許庁に届け出てもらうために「先願主義」というルールになっています。
一方で、先願主義の逆でとにかく先に「発明した人」に特許権を認めるというルールが「先発明主義」です(先程の例ではAさんが特許権者になる)。
ルールとしてはとてもフェアで、かつてアメリカなどで採用されていましたが、実はいろいろなデメリットがあります。
たとえば、①Aさんからすると「いつ申請を出しても必ず特許を取れる」わけですから、急いで申請手続をしないはずです。すると、新しい技術が世の中に広まるのが遅れてしまいます。
他にも、②ようやくAさんが申請手続を終えてその権利を使いたがっている企業に使用権を与えていたとします。そこに、今度はZさんという人が出てきて「いやいや。のんびりしてたけど実は私が3月31日に発明済である」と判明した場合、Aさんにお金を払って使用権を認めてもらっていた企業はどうなるのでしょう。
このように、先発明主義はルールこそフェアですが「だれが権利者なのかいつまでも確定しない」などの不安定さがあるのです(そのため、先発明主義を採用している国はほとんどありません)。
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